トラック運送業「貨物運行管理者」の「貨物自動車運送事業法」は、30問中のうち8問出題されます、「貨物自動車運送事業法」について分かりやすく解説します。

目次

「貨物自動車運送事業法」のテキスト

1-1:法の目的、用語の定義(出題頻度が高い項目です)

1.「貨物自動車運送事業法」の目的:貨物自動車運送事業法は、貨物自動車運送事業の運営を適正かつ合理的なものとするとともに、貨物自動車運送に関するこの法律およびこの法律に基づく措置の遵守等を図るための民間団体等による自主的な活動を促進することにより、輸送の安全を確保するとともに、貨物自動車運送事業の健全な発展を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的としています。

2.用語の定義

①「貨物自動車運送事業」とは、一般貨物自動車運送事業特定貨物自動車運送事業および貨物軽自動車運送事業をいいます。

②「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいいます。

③「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業をいいます。

④「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、三輪以上の軽自動車および二輪の自動車を使用して貨物を運送する事業をいいます。

⑤「特別積み合わせ貨物運送」とは、一般貨物自動車運送事業として行う運送のうち、営業所その他の事業場において集貨された貨物の仕分けを行い、集貨された貨物を積み合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において運送された貨物の配達に必要な仕分けを行うものであって、これらの事業場の間における当該積み合わせ貨物の運送を定期的に行うものをいいます。

⑥「貨物自動車利用運送」とは、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業を経営する者が他の一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送を利用してする貨物の運送をいいます。

*特別積み合わせ貨物運送は、一般貨物自動車運送事業の業務の一部であり、貨物自動車利用運送は一般貨物自動車運送事業や特定貨物自動車運送事業の業務の一部です。

練習問題(〇×問題)

①貨物自動車運送事業法の目的な1つとして、貨物自動車運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることが挙げられている。

答えと解説:   〇                         設問通り、他にも、輸送の安全を確保することや貨物自動車運送事業の健全な発展を図ることなども挙げられています。

②貨物自動車運送事業とは、一般貨物自動車運送事業および貨物自動車利用運送事業をいう。

答えと解説:   ×                         貨物自動車運送事業とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業をいいます。

穴埋め問題で「適正かつ合理化」「措置の遵守」「民間団体」「自主的な活動」「輸送の安全」「健全な発達」を覚えましょ。

1-2:貨物自動車運送事業の許可・届出等

1.運送事業の許可・届出

(1)一般貨物自動車運送事業の許可:一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。       許可を受けるためには、所定事項を記載した許可申請書に、事業用自動車の運行管理者の体制等を記載した書類を添付して国土交通大臣に提出しなければならない。

(2)貨物軽自動車運送事業の届出:貨物軽自動車運送事業を経営しようとする場合は、営業所の名称や位置、事業用自動車の概要等所定の事項を国土交通大臣に届出なければなりません。届出をした事項を変更しようとするときも、同様です。

2.運賃・料金等

(1)運賃・料金の届出:一般貨物自動車運送事業は、運賃・料金または変更後30日以内に、所定事項を記載した運賃料金設定(変更)届出書を、所轄地方運輸局長に提出しなればならない。

(2)運賃・料金等の掲示:事業者は、運賃・料金(個人を対象とするものに限る)、運送約款その他国土交通省令で定める事項を、主たる事務所その他の営業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

3.車庫の確保:事業者は、事業用自動車の保管の用に供する自動車車庫を適切に確保しておかなければなりません。

練習問題(○×問題)

①一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

答えと解説:   ×                                一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

②事業者は、運賃を定めたときは、運賃の設定後30日以内に、運賃料金設定届出書を、所轄地方運輸局長に提出しなければならない。

答えと解説:   〇   

許可と認可の違いや運賃・料金の届出30日以内等を覚えましょう。

1-3:事業計画、運送約款

1.事業計画:事業者は、その業務を行う場合は、事業計画に定めるところに従わなければなりません。国土交通大臣は、事業者が事業計画に従う業務を行っていないと認めるときは、事業者に対し、事業計画に従い業務を行うべきことを命じることができます。

2.事業計画の変更:事業者は、事業計画の変更をしようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。

3.軽微な事業計画の変更等:事業者は、事業用自動車に関する国土交通省令で定める事業計画の変更をするときは、あらかじめその旨を、国土交通省令で定める軽微な事項に関する事業計画の変更をしたときは、遅滞なくその旨を、国土交通大臣に届出なければなりません。

●あらかじめ届け出る事業計画の変更=「事前の届出」

①各営業所に配置する事業用自動車の種別ごとの数の変更

②各営業所に配置する運行車の数の変更

●変更後に遅滞なく届け出る軽微な事業計画の変更(事後の届出)

①主たる事務所の名称および位置の変更

②営業所または荷扱所の名称の変更

③営業所または荷扱所の位置の変更

2.運送約款

(1)事業者は、運送約款を定め、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。これを変更しようとするときも同様です。ただし、国土交通大臣が標準運送約款を定めて公示した場合には、事業者が、標準運送約款と同一の運送約款を定め、または現に定めている運送約款については、国土交通大臣の認可を受けたものとみなされます。

練習問題(○×問題)

①事業者は、各営業所に配属する事業用自動車の種別ごとの数の変更をしたときは、遅滞なくその旨を、国土交通大臣に届出なければならない。

答えと解説:   ×    あらかじめ届出しなけれならない。

②事業者が、標準運送約款と同一の運送約款を定めたときは、これを国土交通大臣に届出しなければならない。

答えと解説:   ×   認可を受けたものとみなされるので、届出る必要はありません。

事業計画の変更に関し、「事前の届出が必要か?」「事後の届出でよいのか?」

1-4 行政処分

1.事業改善の命令:国土交通大臣には、運送事業の適正かつ合理的な運営を確保するために必要があれば次の事項をを命ずることができます。

①事業計画で運送約款を変更すること。

②自動車その他の輸送施設に関し改善措置を講ずること。

③貨物の運送に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を、担保することができる保険契約を締結すること。

④運賃または料金が利用者の利便、その他公共の利益を阻害している事業があると認められる場合において、運賃または料金を変更すること。

⑤その他荷主の利便を害している事実があり、事業の適正な運営が著しく阻害されていると認められる場合において、事業の運営を改善するために必要な措置を執ること。

2.許可の取消し等:国土交通大臣は、事業者が次のいずれかに該当するときは、6カ月以内の期間を定めて、自動車その他の輸送施設の事業のための使用の停止、事業の全部もしくは一部の停止を命じ、または運送事業の許可を取り消すことができます。

①貨物軽自動車運送事業法もしくは同法に基づく命令もしくはこれらに基づく処分または許可・認可に付した条件に違反したとき。

②道路運送法83条(有償旅客運送の禁止)、同法第95条(自動車に関する表示)、同法第84条第1項(運送に関する命令)の規定による処分または許可若もしくは認可に付した条件に違反したとき。

③貨物軽自動車運送事業の許可の欠格事由に該当するに至ったとき。

3.荷主への勧告:国土交通大臣は、事業者が輸送の安全に関する違反行為を行ったことにより貨物軽自動車運送事業法の規定による処分をする場合において、違反行為が荷主の指示に基づき行われたことが行われたことが明らかであると認められ、かつ、事業者に対する命令や処分だけでは違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、違反行為を指示した荷主に対しても、違反行為の再発の防止を図るために適当な措置を執るべきことを勧告することができます。

練習問題(○×問題)

①国土交通大臣は、事業の適正かつ合理的な運営を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対して、事業計画の変更を命ずることができる。

答えと解説   〇   

②事業者が荷主の指示に基づき過積載による運送を行い、貨物軽自動車運送事業法の規定による処分を受ける場合、国土交通大臣は、当該荷主に対しても、再発防止を図るため適当な措置を執るべきことを命じることができる。

答えと解説   ×                                 荷主に対しては「勧告」できることにとどまり、命令まではできません。

1-5:輸送の安全

1.輸送の安全

(1)事業者の義務:事業者は、事業用自動車の数、運転者、休憩、勤務時間、乗務時間、過労運転防止するために必要な措置を講じなければなりません。

(2)過積載の禁止:事業者は、過積載の引き受け、過積載前提の運行計画の作成、運転者への過積載運送の指示をしてはなりません。

(3)貨物自動車運送事業輸送安全規則の遵守:輸送安全規則で定める事項を遵守しなければなりません。また、運転者、運行の安全を確保するため、貨物軽自動車運送事業輸送安全規則で定める事項を遵守しなければなりません。

2.輸送の安全確保の命令:国土交通大臣は、事業者が1の規定または安全管理規程を遵守していないと認めれられるときは、事業者に対して、運転者の確保、運行計画の改善、運行管理者に対する必要な権限の付与、下請事業者の輸送の安全の確保を阻害する行為の禁止、安全管理規程の遵守のための必要な措置を講ずべきことを命じることができます。

3.輸送の安全にかかわる情報の公表:事業者は、毎事業年度の経過後100日以内に、次の事項について、インターネット利用その他適切な方法により公表しなければなりません。

①輸送の安全に関する基本的な方針

②輸送の安全に関する目標およびその達成状況

③自動車事故報告規則2条に規定する事故に関する統計

4.貨物の積載方法:①偏荷重②貨物が運搬中に荷崩れなどにより落下することを防止するため、貨物にロープまたはシートを掛けることなど必要な措置を講じなければならない。

5.通行の禁止または制限等違反の防止:

①幅、重量、高さまたは最小回転半径について、法令に定められた最高限度に違反する事業用自動車に道路を通行させること。

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

takumi-keieiのアバター takumi-keiei 物流コンサル

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次