トラック運送業に必要な「貨物運行管理者」テスト問題で、「実務上の知識及び能力」について、ポイントを整理しました。

目次

運行管理者テスト問題で、実務上の知識及び能力は30問中7問が出されます。

また、その範囲は広く、結構難しい問題が出題されています。

ポイントを整理し対策を検討しましょう。

1.運転者の感覚と能力

 ①視覚と認知=障害物を認知してからブレーキが効き始めるまでの時間を反応時間(又は空走時間)といいます、反応時間は1秒くらいと言われています。

 ②距離の錯覚=運転席が高い位置にある大型車の場合は車間距離に余裕があるように感じ、前方を走行している自動車との距離を実際より長く感じてしまいます。 

練習問題(〇×問題)

1)運転時における情報入手は視力によるところが大きいが、年齢とともに低下する静止視力に比べ、動体視力は加齢による低下率が少なく個人差も小さい。

 答えと解説: × 動体視力は加齢による低下率や個人差が大きくなります。

2)明るい場所から急に暗いところへ入った際にだんだん目が慣れる時間と、暗いところから急に明るい場所へ出たときに同じように目が慣れる時間とを比較した場合は、前車の方が後者よりも時間がかかる。

 答えと解説: 〇 暗順応の方が明順応より時間がかかります。

3)自動車の速度が速くなるほど、運転者の視野は狭くなり、近くを注視するようになるために、遠くは見えにくくなる。

 答えと解説: × 自動車の速度が速くなるほど、運転者の視野は狭くなり、遠くを注視するようになるため、近くは見えにくくなります。

日頃の運転状況を考えながら答えを考えましょう。

2.自動車に働く自然力

 ①空走距離=ブレーキが効き始めるまでの間に走った距離を「空走距離」

 ②制動距離=ブレーキが効き始めてから停止するまでに走った距離を「制動距離」

 ③停止距離=危険認知から止まるまでには、空走距離と制動距離を合わせた距離が必要となり、この距離を「停止距離」といいます。

 ④「慣性力の大きさ」=速度が速いほど大きくなり、速度の2乗に比例する。速度が2倍になれば慣性力は4倍。

 ⑤「遠心力の大きさ」=カーブの半径が小さいほど大きくなる、重量・速度が同じ場合、半径が2分の1になると遠心力は2倍。

 ⑥速度が速いほど大きくなり、速度の2乗に比例する。速度が2倍になれば遠心力は4倍。

 ⑦「衝撃力の大きさ」=自動車の速度が大きくなり、速度の2乗に比例する。速度が2倍になれば衝撃力は4倍。

練習問題(〇×問題)

1)危険を認知して判断し、ブレーキ操作を行いブレーキが効き始めるまでの走り続けた距離を空走距離といい、ブレーキが効き始めてから停止するまでに走った距離を制動距離という。

 答えと解説: 〇 空走距離と制動距離を合わせた距離を停止距離といいます。

2)自動車の重量および速度が同一の場合には、曲がろうとするカーブの半径が2分の1になると遠心力の大きさが2倍になる。

 答えと解説: 〇 遠心力は、カーブの半径が小さいほど大きくなります。

3)自動車に働く慣性力、遠心力および衝撃力は、速度に比例して大きくなることから、速度が2倍になれば2倍に、速度が3倍になると3倍になります。

 答えと解説 × 慣性力、遠心力およに衝撃力は、速度の2乗に比例して大きくなります、速度が2倍になれば4倍になります。

空走距離、制動距離、停止距離の違いを覚えましょう。

3.天候・状況に応じた運転

 ①天候に応じた運転=「夜間の運転」「雨天時の運転」「霧の日の運転」等

 ②状況に応じた運転=「踏切通過時の運転」「坂道・山道での運転」「カーブでの運転」等

 ③追い越しにかかる時間・距離=自動車が追い越しをするときは、前の自動車の走行速度に応じた追い越し距離・時間が必要となるため、前車と追い越しをする自動車の速度差が小さい場合には長い時間と距離が必要となります。

練習問題(〇×問題)

 1)霧が発生した時は、前照灯を下向きに点灯し、センターラインやガードレール、直前の自動車の尾灯を目安にして、速度を落として走行する。

答えと解説: 〇 霧の時に、前照灯を上向きに点灯すると、かえって見づらくなります。

 2)自動車が追い越しする際には、前の自動車と追い越しする自動車の速度差が大きい場合には追い越しに長い時間と距離が必要。

答えと解説: × 反対で、速度差が小さい場合には追い越しに長い時間と距離が必要となります。

4.自動車の走行時に生じる諸現象

 ①ウエットスキッド現象=タイヤと摩擦係数が低下し、急ブレーキをかけたときにスリップすることです。

 ②ハイドロプレーニング現象=水上を滑走する状態なって操縦不能になることです。

 ③ペーパーロック現象=フットブレーキを使い過ぎると、ブレーキ・ドラムやライニングなどが摩耗し過熱してブレーキ液内に気泡が発生することで正常にブレーキが作用しなくなることです。

 ④フエード現象=フットブレイキを使いすぎると、ドラムやライニングが摩擦のため過熱し、ブレーキの効きが悪くなることです。

 ⑤スタンデイングウエーブ現象=タイヤの空気圧不足で高速走行した場合、タイヤが波打つ現象が起こり、バースト(破裂)しやすくなることをいいます。

 ⑥ジャックナイフ現象=トレーラーなど連結車両において、滑りやすい路面で急ハンドル、急ブレーキを行ったときに連結部のところで「くの字」になることです。

練習問題(○×問題)

 1)ウエットスキッド現象とは、路面が水でおおわれているときに高速で走行するとタイヤの排水作用が悪くなり、水上を滑走する状態になって操縦不能になることをいう。

答えと解説: × これはハイドロプレーニング現象の説明です。

 2)フエード現象とは、長い下り坂でフットブレーキを使いすぎるとドラムやライニングなどが摩耗のため過熱してその熱がブレーキ液に伝わり、液内に気泡が発生することによりブレーキが正常に作用しなくなります。

答えと解説: × これは、ペーパーロック現象の説明です。

似たような文言で違った意味になります、混同しやすいので注意しましょう。

5.緊急時の措置

 ①踏み切りでの対応=踏切内で運行不能になったときは、一刻も早く列車の運転士に、踏切支障放置装置(踏切日常ボタン)や非常用信号用具等(発煙筒等)を使用して踏切内に自動車が立ち往生していることを知らせることと自動車を踏切の外に移動させることに努めます。

 ②大地震発生時の対応=・避難の為に自動車を使用しない。・やむを得ず道路上において避難する時は、エンジンキーは抜かず、窓を閉め、ドアをロックしないようにする。

練習問題(○×問題)

1)自動車の故障により踏切内で立ち往生したしまったときは、列車が接近し、視認できるようになるまでは自動車を踏切の外に移動することに努め、移動が困難と判断したときは、列車の運転士に、踏切非常ボタン等を活用して、踏切内に自動車が立ち往生していることを知らせる。

答えと解説 × この場合は、一刻も早く列車の運転士に、踏切非常ボタン等を活用して、踏切内に自動車が立ち往生していることを知らせる必要があります。列車が視認できるようになってから知らせるのでは遅すぎて危険です。

 2)運転中に大地震が発生し、道路上に自動車を置いて避難する場合には、エンジンキーは抜かず、窓を閉め、ドアはロックしないようにする。

答えと解説: ○ 緊急車両や避難する人たちの邪魔になった場合は、誰でも動かせる状態にしておく必要があります。

踏切・大地震発生時の対応は重要度が高いので、覚えておきましょう。

6交通公害等

 ①交通公害等関連用語

 ・パークアンドライド=通勤等に使用されている自動車等を郊外の鉄道駅やバス停に設けた駐車場に停車させ、そこから鉄道や路線バス等の公共交通機関に乗り換えて移動する方法のこと。

 ・モーダルシフト=旅客・貨物の輸送手段をより環境負荷の小さいものに転換することを言います。

 ・エコドライブ=駐停車中にエンジンを停止するアイドリングストップや急発信・急加速を避けた運転を励行する省エネルギー運転のこと。

練習問題(○×問題)

 1)自動車の騒音や振動は、自動車の速度が速いほど、また、自動車の重量が重いほど大きくなる。

答えと解説: ○ このような公害には配慮した運転を心がけべきです。

 2)モーダルシフトとは、都市部などの交通渋滞の緩和のため、通勤などに使用されている自動車等を鉄道駅やバス停に設けた駐車場に停車させ、そこから鉄道やバス等公共交通機関に乗り換えていどうする方法のこと。

答えと解説 × これはパークアンドライドの説明です。

7.交通事故の防止対策

 ①交通事故の防止対策等関連用語

 ①指差呼称=運転者の錯覚・誤判断・誤操作を防止するために、指で指し、声を出して確認すること。

 ②適正診断=性格・危険度感受性・動作の正確さなど安全運転に対する意識の向上させるための方法。

 ③ヒヤリハット=ハインリッヒの法則を使って、交通事故を減らす防止対策の手段。

 ④ドライブレコーダー=自動車事故を未然に防止する有効な手段。

 ⑤デジタル式運行記録計 

 ⑥衝突被害軽減ブレーキ

練習問題(○×問題)

1.適正診断は運転者の適性を判定することより、運転に適さない運転者として選任しないようにするためのものである。

答えと解説: × 適正診断は、すでに選任されている運転者自身の安全意識を向上させるものです。

2.ヒヤリハットを調査し減少させていくことは、交通事故防止対策に有効な手段である。

答えと解説 ○ 1件の重大事故が発生する背景は29件の軽傷事故、300件のヒヤリハットがあるとされています。

8.運転者の健康管理等

 ①運転者の健康管理の重要性=自動車運送事業を行う上で、運転者の健康管理は極めて重要な事項です。

 ②睡眠時無呼吸症群についての理解=早期に医師の治療を受けることが必要不可欠です。

 ③アルコール依存症についての理解=この病気は専門医による早期の治療をする必要があります。

 ④生活習慣病=暴飲暴食や運動不足などの悪習慣が積み重なって発病します。

練習問題(○×問題)

1.睡眠時無呼吸症候群は、狭心症や心筋梗塞などの合併症を引き起こすおそれはないが、安全運転を続けていくためには早期の治療が不可欠となる。

答えと解説: × 睡眠無呼吸症候群は、狭心症や心筋梗塞などの合併症を引き起こすおそれがります。

睡眠無呼吸症候群とアルコール依存症は覚えましょう。

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