物流会社43年勤務し、トラック運送業「物流塾」を10年経験し、トラック運送業では社員を育てることが、会社業績に直結することを実感しました。
人は他人から言われたことには、なかなかしたがらないものです。自分から言い出したことは意地でもする傾向があります。「自分から身をゆだねた目標のために自らムチを打って働くもの」という考えは動機付けとしては正しいと思います。
部下から「これはどうしたらいいですか?」に質問に対して最もよい答えは「あなたはどうしますか」と反転質問をすることです。松下幸之助さんは「君ならどうする?」とよく言ってたそうです。これはコーチングでの「オウム返し」と同じ考え方です。
会議でも質問があったとき、最もよい方法は反転質問です。多くの管理者は「自分の答えや考え方」を喋り説得にかかりますが、それでは部下は育ちません。「こうしたら」「こうすべき」と言うのはある意味で正しと思いますが、他の意見を押しつぶす要因にもなります。
何も考えていない人は質問もしません。質問する人は、必ず「自分の意見」「考え」を持っていますが、中には意見を言いたくて質問する人もいます「いい質問ですね」と褒めて、その人の存在価値を認めて「ところであなたはどう考えますか」と質問者に反転質問をし、その人の意見や考えを引き出す。更にその質問に対して他の人に振りむける「リレー質問」を繰り返すことで会議が活性化し、よりよい結論を導いていくことが司会進行役・管理者の役割で、本来の会議のありかたです。
人は考えることで成長します。すべての管理者が指示すると、「考えないし」「どうせ管理者が結論を出す」「それの方が会議が進行する」と会議メンバーが思うことは最悪です。指示待ち人間、考えない部下が増えることは会社全体の損失です。
人は苦労しないと成長しません。指示待ちは「自ら」行動しなくなり、最も悪いことは、結果がうまくいかない場合、「半分は自分の責任ではなく、自分は言われたことをしただけ」と責任感もない結果になります。
管理者は結論を持っていても、それを先に出さず、部下に問題を投げかけて「考えさせ」「発言させる」そのことの繰り返しが大事です。
人は常識的に同じようなことを考えます。部下の方が最もよい考えを持っているかも知れません。大事なことは同じ結論が出るなら「やれ」と指示するより、部下から「自分からやります」と言わせるように仕向けることがポイントです。
当然、管理者の方が経験もたくさんあり、よりよい結論に持っていけるはずですが、しかし、多少不満足でも方向が間違っていなければやらせることです。自分から言い出したことになると、放っておいても頑張ってするものです。ただし、放置してはダメです。フォローを絶えずして「どう進捗した」「何か問題はある」の言葉掛けは必要です。
部下の能力を引き出し、仕事に意欲を持たせる動機付けは、「考える」「行動を促す」「言わせる」「コミットメント(いつまで)」等の繰り返しで部下は育ちます。
多くの管理者、経営者は部下からの相談に対して、すぐ結論を出さなければメンツが立たないと思っています。「こうすれば」「おれの言ったことすれば」の言葉が出やすいですがそれでは部下は育ちません。また期限を切って「いつまでにどこまでの結論かでるか」も大事な点です。「今いる社員」を育てることが結果的に会社全体の底上げができて会社も大きく成長できます。
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