トラック運送業2024年問題がスタートしました(第2回)

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間、上限規制と改正改善基準告示が適用されます。

労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が高くなっています。

なにも対策を打たなかった場合

1)トラック運送会社では、荷主さんや一般消費者さん向けの今まで通りの輸送が難しくなります。

 ・今までと同じ方法では、長距離輸送(時間が掛かる)が難しくなります。

 ・更なるドライバーの増員が必要ですが、人材確保が益々難しくなってきます。

2)荷主さん側では、必要な時に必要な「モノ」が届かなくなります。

 ・時として、輸送を断られるケースがあるかも知れません。

3)一般消費者さんは、当日、翌日の配達サービスが受け取れないかも知れません。

 ・水産品、青果物、花など新鮮な「モノ」が手に入りにくくなります。

トラック運送会社と荷主さんで取り組むべき課題

1)荷待ち時間、待機時間の削減⇒予約システムの導入、出荷・受け入れ体制の見直し。

2)作業時間、労働環境の改善⇒パレット化による手作業による荷役作業の削減。

トラック運送会社から荷主さんへの要望

1)標準的適正な運賃の改善。

2)運送以外の発生する、燃料サーチャージ、附帯作業料金、高速料金の収受。

消費者さんへの要望

1)個別配送の再配達を減らす取組み、宅配ボックス、ロッカーの利用等

2)まとめ買いや注文回数を減らすことによる運送回数の削減

ワークライフバランスの重視から、労働時間の削減を目指して、働き方改革を実践する会社が増えてきましたが、物流業界はまだまだ遅れています

1)運べる荷物が減ることは、トラック運送会社の売上、収益が圧迫されます。

2)1日に運べる荷物の量が減るために、運賃を上げなければなりませんが、現状では運賃改定は難しい状況です。

3)日本全体で運送会社は6万社を超える過当競争で、荷主さん側はより運賃の安い運送業者に依頼します。

全日本トラック協会では、1カ月に働ける見安を次のように解説しています

1)1カ月を4.3週、22日勤務、1日1時間休憩として、時間外労働を80時間行ったドライバーの1カ月の拘束時間は274時間です。

2)法定労働時間  1週間 40時間 × 4.3週 =172時間

 ・時間外労働  960時間(上限) ÷ 12カ月 =80時間

 ・休憩時間   1日1時間 × 22日 =22時間

3)繁忙期における1カ月の拘束時間が274時間を超える運送事業者は、令和3年(2021年度)は全体の34%を超えています。その中で、月間320時間を超える運送事業者が2.4%あります。

4)運行種別では、長距離輸送で超時間労働は、月間275時間以上の運送事業者が43%で、月間320時間を超える運送事業者は4.6%占めています。

厚生労働省が2020年から2021年にかけて行った調査で、以下の理由で超時間労働の傾向にあります

1)着(発)荷主さん側で荷待ち発生がある。

2)納品までのリードタイムや時間指定等の条件が厳しい。

3)積み込みや荷卸しが手作業で、超時間労働となる。

4)荷主からのオーダーに合わせることで、効率的な配送計画が作られていない。

2024年問題で、物流業界でも配送効率を高める取り組みが広がっています。コンビニ配送を1日3回を、2回に回数を減らしたり、運送会社間での共同配送の取組み、モーダルシフト(トラックから鉄道)へのチェンジ、フエリーの輸送等取り組んでいます。

国が新たな対策を打ち出しています。荷主の責任を明確にしました。荷待ち時間の短縮、効率化に向けての対策を、「荷主」にも努力義務としています。

トラック運送業にとって、2024年問題が今スタートしたばかりです。運送業とお客さまが一緒になって、問題改善を進める必要があります。その都度情報を提供していきますので頑張りましょう。

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